旅先の楽しみのひとつは、市場だと思う。どこの国に行っても必ずまわるようにしているし、もちろん国内でもそうしている。ちなみに、旅行じゃなくても「その辺」をまわったときにでさえ、小規模の物があればもちろん突撃。観光地化している市場はまたちょっと違うのですがね。
いずれにしても、その土地の「生活の温度」がいちばんよく分かる場所だとおもっているので外せません。
今回ふらりと立ち寄ったのは、札幌市内のある小さな市場。規模は大きくないけれど、陳列のしかたや品揃えがどこか素朴で、見ているだけで楽しい。ただここは、天井も低く、薄暗く、そしてもの凄く寒い。そんな中で、思わず足が止まった。――メヒカリだ。
標準和名はアオメエソ。
海水魚。水深150-620mの大陸棚縁辺から斜面上部。
海徳海山、相模湾〜九州南岸の大平洋沿岸、新潟県、富山湾、若狭湾、島根県隠岐・浜田、山口県日本海側沖合い、東シナ海大陸棚縁辺、九州〜パラオ海嶺。
済州島、台湾南部、ニュージーランド、ニューカレドニア。
メヒカリという事で、光を当ててみると鮮度の関係なのか、「光った感」があまりなかったんで、また次にはもっと鮮度の良いものでやってみたいですね!

北海道では、居酒屋でもなかなか見かけない魚。最近は少しずつ出会う機会も増えてきたけれど、やっぱりまだ“珍しい側”の存在だ。しかも、ここでは山のように並んでいる。これはもう買うしかない。
メヒカリといえば唐揚げ。脂がのっていて、丸ごと食べられて、そして妙に止まらなくなるあの味。完全に頭の中は「揚げる前提」で即購入となった。
さて、ここからが理科教員の性(さが)である。

下処理をしようと一匹ずつ見ていくと、いた・・・見える。目をこらすと、アニサキス。
もちろん驚きはするけれど、同時に少しうれしくもある。寄生虫というとネガティブに聞こえるが、これはつまり「この魚が自然の海でしっかり食物連鎖の中を生きてきた証拠」でもある。冷凍や養殖ではなかなか出会えない、「自然の中で生きてきた履歴書」のようなもの。
丁寧に取り除きながら、改めて食べるという行為が「生き物をいただくこと」だと実感する。スーパーの切り身ではなかなか感じにくい、生物としてのリアリティがここにはある。
せっかくたくさん手に入ったので、今回は南蛮漬けにしてみた。
揚げたメヒカリを、甘酢にさっとくぐらせ、野菜と一緒に漬け込む。時間が経つと骨までやわらかくなり、旨味が全体に回る。や、そもそもメヒカリは唐揚げにしただけでもう骨は柔らかくて食べられるので益々楽しみ。
市場で見つけた小さな魚が、観察になり、料理になり、そしてちょっとした理科の教材にもなる。
「買い物」だったはずが、「体験」に変わっていく。こういう出来事があるから、やっぱり市場歩きはやめられない。本当は授業もこうだったら最高なんですよねぇ。
修学旅行なんてこんな感じだったらより「文化」を体感できるように思うのですがどうなのでしょう・・・。
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