今日は「イオン結晶」の確認。
黒板に「Na⁺」「Cl⁻」を並べて構造を説明しながらも、
「実際に”結晶”ってどうやって割れるのか、見たことある?」という問いからスタート。
机の上に並べたのは、大きなヒマラヤ岩塩の塊。「これ、ただの塩。静電気の力でくっついているイオン結晶なので頑丈ではあるけれど、逆に静電気力の関係で“パキッ”と割れるんだよ」という話。一気にざわめきが・・・。渡すと手で割ろうとする生徒なんかも当然出てきてそれがめちゃくちゃ面白いし勉強になる。割れないから。

代表に生徒がくぎと金槌を手に取る。慎重に狙いを定めて、コンと一撃。
「うわ、スパッといった!」「すご…めちゃくちゃ光ってる」さすが岩塩はイオン結晶。
正確な立方体構造に沿って、「劈開」という性質を示す。
その割れ方がまさにナトリウムイオンと塩化物イオンの規則的配列見せてくれる。この体験が「教科書に載ってること」の意味を実感させる瞬間。「良く見たらNaとClが規則正しく並んでいるの見えるよね?みんなの目なら、俺も昔は見えたんだけどさぁ」というと洒落がわかる生徒は「おーホントだ」と。すると、それほど集中してていない生徒も「ウソ!見せて!」とwww

「なめてみたい」気持ちも化学の入口
「持って帰っていい?」という声がでて、綺麗な結晶は袋に入れて持ち帰る。そして何人かが、「ちょっと汗かいて塩分不足なので塩分補給して良いですか?」ろ口に含んで「うわ、しょっぱい!」と笑う。ナトリウムイオンと塩化物イオンが水に溶け、味覚として伝わる――これもれっきとした「化学の体験」。「塩の味」も、イオンの存在を感じる方法の一つ。もちろん電離や電解質の話や伝導性の有無の話も実験も。
放課後は、アクアビーズで立方体モデルを製作。黄色いビーズをNa⁺、黄緑色ビーズをCl⁻に見立て、交互に並べながら立方体構造を組み上げる。実際に割った岩塩の形と比べてみると、
「確かにこの配列のまま割れるってことか!」と納得。そうなると今度は「別な分子もアクアビーズでつくりたい」という当然の流れになってくる。これ、以前もやったんですがなかなか難しいんですよね。ちょっと3Dプリンタで治具でも作ろうかなという気分になります。

やっぱり授業は、「知識を教えた」ではなく、「体験を通じて言葉が自分の中から出てくる」ことが必要なんだよなぁと肝に銘じて、色々工夫した展開を考えなければいけないよなぁと思う訳なのです。「実感を持って」理解できればきっと「学び」のモチベーションにもなるでしょうし、試験を見たときに「実感」をもって取り組むことができるはずなんだと信じたいです。まあ、そういう視点でつくられた試験であればという大前提があるわけですがね。

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