今日は、ハードディスクの奥深くに眠っていた「お宝」を見つけたので、皆さんとシェア。2018年に訪れたネパールでの、ちょっと特別な出会いの記録です。
この年末年始は本当にいやな事があったので、旅行したときの写真を整理整頓中、ふと目に留まったフォルダ。そこには、忘れもしない「コハゲコウ(Lesser Adjutant)」の姿がありました。
コハゲコウ、英語では「Lesser Adjutant(小さな副官)」と呼ばれます。副官といっても、軍隊のような勇ましさというよりは、どこか哀愁漂う「哲学者のような佇まい」が魅力的な大型のコウノトリの仲間です。


■コハゲコウってどんな鳥?
少しだけ真面目な解説を。
- 絶滅危惧種: 実はVU(絶滅危惧II類)に指定されている希少な鳥です。
- 生息地: ネパールやインド、東南アジアの湿地や水田に生息しています。
- 特徴: 頭に羽毛が少なく、ピンク色の皮膚が露出しているのが名前の由来。翼を広げると2メートル近くにもなる大型種ですが、名前に「コ(小)」と付くのは、親戚の「オオハゲコウ」より一回り小さいから。
■「300mm一本勝負」の意外な結果
この時の撮影、実はちょっとした制約がありました。 いつもなら野鳥撮影には450mmのバズーカ砲のようなレンズを持ち出すのですが、この日は身軽さを優先して**「55-300mm」の望遠レンズ一本。
野鳥ファンの方ならわかると思いますが、「300mmで鳥を撮る」というのは、ボクシングで言えばリーチが足りないような不安感があります。「あぁ、もっと寄りたい……」と悶絶するのがオチなのです。
ところが、現像してみてビックリ。「意外と、どころか、めちゃくちゃ撮れている!」**
コハゲコウの存在感のおかげでしょうか。記憶では朝はなかなかの川霧に覆われていたのですが、太陽がでてからは背景にあるようなネパールの抜けるような青空。鳥のディテールも羽の一枚一枚までくっきり。長い焦点距離で背景を整理するのもいいですが、300mmだからこそ切り取れる「その場の雰囲気」があるんだな、と再確認させられました。
■マニアックな機材の裏話:K-3とK-1の「300mm」
実は、今回の現像で一番「なるほど」と思ったのが、カメラ本体とレンズの関係です。
今回発掘した2018年の写真は、当時の愛機 PENTAX K-3(APS-C機)で撮影したものでした。 もしこれを今メインで使っている PENTAX K-1(フルサイズ機)で同じ300mmレンズを使って撮ったらどうなるか? ここに「意外と撮れていた」の秘密がありました。
「300mm」が「450mm相当」に化ける魔法
K-3のようなAPS-C機に300mmのレンズをつけると、フルサイズ換算で**「約450mm相当」**という、本格的な超望遠の画角になります。
- 2018年のK-3(APS-C): 300mmレンズ = 450mm相当のド迫力。
- 現在のK-1(フルサイズ): 300mmレンズ = 300mmそのままの広い画角。
⠀つまり、当時の自分は「短いレンズだな」と感じつつも、K-3のセンサーのおかげで、実際には野鳥撮影の標準域である450mm相当の望遠効果を得ていたわけです。
■センサーの違いが生む「空気感」
今のK-1で撮れば、3600万画素の圧倒的な解像度とフルサイズ特有の「ボケの深さ」が得られます。しかし、2018年のK-3が切り取った「450mm相当の凝縮感」は、コハゲコウのような孤高の鳥を際立たせるには、まさに絶妙なバランスだったのだと痛感しました。
機材が変わっても、その時々の「最適解」がある。 そんなことを、8年前のRAWデータが教えてくれた気がします。今のK-1ならクロップ機能を使えば同じ感覚で撮れるな・・・重いレンズでいくのか、クロップモードでいくのかを考えるチャンスが生まれた気がします。
■写真が呼び覚ます記憶
2018年。もう何年も前のことですが、写真を見返すと、ネパールの湿った風の匂いや、コハゲコウがゆっくりとたたずむ静かな音まで蘇ってくるようです。
やはり、写真は撮りっぱなしにせず、こうしてBlogにアウトプットして記憶を定着させるのが一番ですね。
昔のSDカードやハードディスク、覗いてみませんか・・・?
さて、次はどの旅の写真を掘り起こそうかな? もし皆さんの「お気に入りの鳥」や、ネパールのおすすめスポットがあれば、ぜひコメントで教えてください・・・悔しいのでまた行ってこようと思っているので!
■コハゲコウの生息数変化を調べてみた
実は今回、この写真を整理するにあたって、2018年から現在(2026年)に至るまでのコハゲコウの生息状況を調べてみました。
自分がシャッターを切った2018年当時、ネパール国内のコハゲコウは約500〜1,000羽程度と言われ、まさに絶滅の危機に瀕していました。大型の鳥が安心して巣を作れる大木が減り、彼らの未来は決して明るいものではなかったのです。
しかし、そこからの数年で「希望」が生まれました。 地元のコミュニティとNGOが一体となり、営巣地を「守るべき宝」として保護する活動が実を結んだのです。2025年末の最新調査では、ネパール国内の個体数は1,500羽を超えるまでになったようです。
300mmのレンズ越しに私と視線を合わせたあの個体はどうなっているでしょう。
コハゲコウの野生下の寿命は約25年。2018年にレンズ越しに見つめ合ったあの若者が、今やネパールの湿地で立派な親鳥となり、次世代を育てているかもしれない……。そんな想像を巡らせると、写真一枚の重みがまた変わってきます。世の中色々変わって当たり前ですが・・・にしても変わらなくて良いことばかり変わってきます.
世の中色々変わって当たり前ですが、にしても、変わらなくて良いことばかりが変わっていくように感じてしまう時もあります。
けれど、「写真は過去を切り取るもの」であると同時に、こうして今のデータと照らし合わせれば「未来への希望を確認するための指針」にもなるのだと、改めて教えられた気がします。
ビデオ通話で、落胆している自分にネパールの15年来の友達が言ってくれた言葉を・・・
「Be Strong!」
4月の新しい環境からも、また少しずつ頑張ってみようと思います。
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