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実習後のレポートを読んで

先週の生物の授業では、かねてより準備していた「フクロウのペリット実習」を行いました。
ペリットとは、フクロウが捕まえて食べた獲物の骨や毛など、消化できない部分を口から吐き出したものです。まるでタイムカプセルのように、その日の食事の記録がぎゅっと詰まっていて、生徒たちも興味津々。

中身をほぐしていくと、小さなネズミの頭骨や歯、鳥の羽根などが出てきて、「うわあ、これ何!?」と声をあげながらもピンセットを器用に使い、獲物の同定にチャレンジ。実験室はまさに探偵団のような熱気で包まれました。

この日使ったペリットは「メンフクロウ」という種類のもので、海外で採取された個体のもの。けれど、北海道にも「エゾフクロウ」や「シマフクロウ」という立派な猛禽類が生息していることを紹介すると、「えっ、そんなに身近に!?」と驚く声が多数。どちらもメンフクロウと同じく、夜の森でネズミや小鳥などを狩る肉食の猛禽類で、日本の生態系を支える大切な存在。声も聞こえるのですが、なかなかそういう印象が無いのかもしれませんね。

ここで生徒たちに問いを投げかけました。

「では、これらのフクロウたちを絶滅させないために、私たちは何をすべきでしょうか?」ということを「現時点でのレポート」に書いてもらいました。
「人間はネズミを捕まえるのやめて、フクロウに任せればいいと思う」

悪くはないけれど、ちょっと短絡的すぎるかな(笑)

「最近は色々な所が明るいので、フクロウのために暗い場所もつくるべき」

なるほど、星を撮影するときにも「光害」という言葉もあるし、北海道は本当に明るいからなぁ、秋田県の夜の道の暗さの衝撃が思い出されるのです。

確かに、ネズミ駆除をすべてフクロウに任せるというのは一見エコな発想に感じます。ですが実際には、人の暮らしの場とフクロウの狩場はあまり重ならないことが多く、簡単には置き換えられません。メンフクロウはエゾフクロウなんかと、ましてやシマフクロウはほぼ重なり合わないといっても良いはずです。
フクロウが生きていくためには、暗くて静かな森や、獲物となる生物が豊かに存在する自然のバランスが必要です。フクロウに任せるだけではなく、その「舞台」を守ることの大切さを改めて学んでほしいので、植生や生物網などの学習を通して、多角的にものを見ることができる人に成長してほしいなと思います。

今回は生態系の導入ということで、この段階ではまず「つながり」や「役割」に気づくことを目的にしました。今後、森林伐採や土地利用、外来種、そして人と自然の共存のあり方についてさらに深めた学習を行った後、再びこの問いに立ち戻ってもらおうと思います。そのために「最初のレポート」は必要なんですよねぇ。

「フクロウって、ただカッコいいだけじゃなくて、生態系の守り神みたいだね。」そう、まさにその通り。
この一言が聞けただけで、実習は大成功だったと言えるかもしれません。

そう考えるとやはりアイヌの人たちのすごさが際立ちます。シマフクロウはアイヌ文化において極めて重要で、儀式や伝説にも多く登場します。特にイオマンテ(熊送り)のような祭祀では、シマフクロウの鳴き声が村の吉兆とされることもありました。

シマフクロウ(Blakiston’s fish owl)

  • コタンコロカムイ(kotan-kor-kamuy)
    • 意味:「村を守る神」
    • 「コタン」=村、「コロ」=持つ、「カムイ」=神
    • アイヌの人々にとって特別な神聖な存在で、シマフクロウは森の守り神・村の守護神とされてきました。

エゾフクロウなど他のフクロウ

  • 一般的な「フクロウ」は カムイチカプ(kamuy-chikap) とも呼ばれることがあります。
    • 「カムイ」=神、「チカプ」=鳥
    • 直訳すると「神の鳥」

生のシマフクロウを見たことがないのでいつか写真に収めたいなと思っています。温泉宿に出てくるのではなくてです・・・難しいですよね。

よその国での「フクロウ」の位置づけが気になってきました・・・

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ちなみにレポートのチェック印はせっかくなのでこれです。原画はChatGPT作w

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