今年で2回目になった、寿都町でのワークショップ。コロナが5類に移行したということもあって、小樽の潮祭り、黒松内町のビーフ天国と重なった関係もあって、なかなか人が集まりませんでした。それでも、色々な縁でそれなりの人数になり無事に開催することができました。まあ、五類になったからこちらもマスクなしでできたので良いのですがね。
今回のテーマは発酵。講師には秋田県から麹屋さんとたのバラの事務局が来てくれたのでなかなか幅の広い内容になりました。
まずは発酵についての解説。本来だと秋田今野商店の研究者のかたがきて下さるはずだっのですが、所用で欠席。急遽事務局側で説明することになってしまいました。まあ、それでもKP法を利用して頑張って説明をしていました。
ちびっこ参加者も多かったので少し難しかったかな、単純座学は。年齢層が広いとこのへんはなかなか難しいですね。
それが終わったら麹を使ったあま酒の試飲。おかゆと麹を混ぜてから時間を変えているので、麹の力を実感できます。お粥との混合時間がゼロのものはもうアウト。つぶつぶ感も残り食べる気になりません。でも、混合時間を長くしたものを試飲した参加者からは、一様に「あま〜い」という声が。麹が澱粉を分解して麦芽糖やブドウ糖に変化させてくれたのが良くわかります。これが正しい「あまざけ」です。日本酒を作った後に残る酒粕で作ったのはやはり甘酒と言ってはいけないなと思いました。まあ、日本酒も麹で作るのですがね。
こうやって発酵ってなかなか面白いかもというところで、出汁に繋げるためになんだか無理矢理感があるのですが、「煮干しの標本作り」に。
煮干しはそのまま「煮て干す」ことで腐敗させないようにしたものですが、魚をそのままにしておくと完全に自分が持っている酵素でタンパク質が分解されていきます。特に肝臓付近では勢いが違います。それは経験上わかっていることなのと、だからお腹を引き出して抜いてしまってから販売したり、干し魚にするときは開いて内臓を出してから乾燥するんですよね、多くの場合。
今回は「カタクチイワシ」の煮干しを標本にしました。前回秋田県で実施した時、北海道のスーパーで買った煮干しは軒並みマイワシ、秋田県に行ってから探してもそれがなくて、カタクチイワシばかりでした。今回、北海道で探してもマイワシは見当たらずカタクチイワシばかりでした。ちょっと驚きましたが、こちらサイドはどちらのイワシでも対応できるようにしておきましたので問題なしですが」、マイワシの漁獲高とこの煮干し問題がリンクしていなければいいなとは思いました。
この前、高校生を相手にやって時も、昨年度秋田県でやった時もみんながハマって時間を取られたのが耳石を取り出すことでした。やっぱり今回も同じ。「ある」とわかってしまったり「あった!これだ」という声が聞こえると自分は「見つからねぇ」では済まされないようで、随分時間をかけて探します。その割に、他のパーツにはそれほど執着しないのはなぜなのでしょうね?割とそういう傾向があるようです。まあでも、魚の耳石集めはかなり魅力的ってことで良いでしょうね。
色々な臓器を取り出して配置してシールを貼って完成。今回は木枠と表紙はこちらで貼り付けておきましたのでそれなりに短縮になったとは思うのですがなかなか難しいですね。参加者の年齢層の幅があると必ず起こる現象ですが、ある意味諦めながら進めました。
集中して作業して疲れたので次はちょっと楽しい「実験&体験」です。
いろいろな産地や材料の味噌を実際に食べてみたり、カニ・エビ・牡蠣でとった出汁をベースにした味噌汁の試飲。ただ飲むだけではなくカレー粉、擂り胡麻、ニンニク、ショウガ、トマト、ピーマン、モズクを入れて味変です。これがまあ実に美味しくて楽しくて随分味噌汁をたくさん飲みました。味噌汁飲み放題ってなかなかないでしょうが参加者の皆さんは喜んで挑戦していいました。
前日の夜に仕込んであった三五八漬けのトマトなども大人気。北海道ではあまり馴染みのない三五八ですが、きっと今回の参加者は探して挑戦しそうな感じでした。
さらに発酵で作った魚醤。これを塗った焼きおにぎりも事実上食べ放題。ワカサギ、タラ、ハタハタを原料にした魚醤を使っていましたが、圧倒的人気がハタハタのものでした。ちなみに味噌は今回の講師をしてくれた「くらを」さんの味噌が圧倒的人気。何軒かの「お取り寄せ」も確定していました。さすがって感じですね。
こんな感じで、寿都町での第二回ワークショップも無事に終了しました。今回は他のお祭りとも日程が重なって想定していた人数が集まりませんでしたが、参加してくださった皆さんからは概ね好評でしたのでよかったです。
もしまたチャンスがあったらお世話になった寿都町に何か恩返ししたいなとは思っています。
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