🪶今日の主役はメンフクロウ
今日はちょっと変わった授業の日。金曜日だからとかいうわけではなく「植生と遷移」という生物基礎の単元の導入としての授業です。
食物連鎖や食物網は中学校の時に学習済みでしょうから、そんなことを思い出しながら取り組んで、理屈に終始しそうな単元にならないようにという気持ちを込めてです。
机の上に並ぶのは――なんと、フクロウの「ペリット(吐き出した未消化物)」。
「えええ?これ、フクロウのうんち?」そんな声が飛び交うけれど、ちょっと違う。
これはメンフクロウが食べた小動物の毛や骨を、消化できずに丸めて吐き出したもの。つまり、生き物の“食べたものの記録”がぎゅっと詰まった、まるで自然のタイムカプセルのような存在なのです。
最初に鳥類の特徴を1分間思い出せるだけ書いてもらうと、もちろん鳥類の分類項目の内容は出てきますが「歯がない」という一つの特徴はまず出てこないのです。始祖鳥と原生鳥類の違いのところでは「翼の先の爪」や「嘴に歯」なんていうのが出てくるのですが、それが記憶に残らないのは実感がないからなのだろうと思います。
🦉手を動かし、じっくり観察
プリントに、フクロウの雛が餌をもらっている様子やメンフクロウの生活の様子を書いて配布。そして、簡単に説明をし、例えばつがいが育雛期間中に1000匹ほどのネズミを捕獲する話などを紹介すると「すげえ」ということになるわけです。そして、未消化物を吐き出し、それをペリットと言って・・・ということで、配布します。

まずはピンセットと爪楊枝を手に、ペリットを丁寧に分解していきます。
ふわふわとした毛のかたまりの中から、色々なものが出てきます。
「えーこれ頭蓋骨じゃない!」「大腿骨発見した!」という声が響き渡ります。生徒たちの目が輝き始めた瞬間です。
- 小さな大腿骨
- 臼歯が見えている頭骨
- 門歯が刺さったままの下顎
- そして、細い沢山の肋骨
⠀みるみるうちに「1匹分のネズミの骨格」が机上の紙に蓄積されていきます。

🔍ペリットから何がわかるの?
観察と分類が終わった後は、骨の種類ごとに分けてカウントします。
「1つのペリットにネズミが2匹も入ってた!」
「こっちはトガリネズミっぽい? 鼻の形が違うよね」
こうして、ただの“ごみ”に見えるペリットから、フクロウがどんな生き物を食べていたか、どんな環境に暮らしているかがわかってきます。
自然の中の「捕食者と被食者の関係」や、フクロウの生きる環境の姿が骨から見えてくるのです。
🌱生き物の「命のつながり」を体感
ただの理科の時間ではなく、今日の授業は命と命のつながりを“見て・触れて・考える”時間になったように思います。職制に関する単語を羅列的に覚えるだけでなく、こういうのをきっかけに「自然の仕組み」を理解してもらいたいことと、自分たちの周りでも色々なことが繰り広げられていることを理解して欲しいものだと思います。
ペリットは、怖くも(完全に滅菌してありますから)汚くもない。
それは、フクロウが自然と生きてきた“証拠”であり、安全に観察できる自然の縮図なんだなぁと思うのです。
一番良かったのは、「持って帰りたい生徒」達がいたことです。標本用のプラスチックケースを渡して持って帰るようにしてあげました。家で自慢してほしいです!w
プリントを印刷し終わって、帰宅してから一方的に友達になれたかもなんて思っていたカラスはどうかなと思って見に行くと、跨線橋の手すりに何とペリットが落ちていました。「ニヤニヤが止まらない」感じですが、袋も何も持っていなかったので回収は別な日に。でも見た感じ魚の骨のようなものが含まれていて、変だなぁと思いましたが、その先に進むと街灯にカモメが。海からはかなり離れて不思議なのですが、鳥の飛翔力や直線距離だとアクセスが良いのかな?にしてもここまで入ってきて何のメリットがあるのか不思議です。この辺も観察していたらわかる事があるのかもしれません。目視できる範囲では3羽はいましたので。


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