最近、心にぽっかりと穴があくようなニュースが相次いで届いた。
一つは北海道・釧路市動物園で暮らしていたアムールトラの「ココア」。
もう一つは、インドのランタンボール国立公園で“伝説”と称された野生のトラ「アローヘッド」。
どちらも、自分にとってはただの「トラ」ではない。
足の不自由なココアが教えてくれたこと
釧路の小さな動物園をゆっくりと歩くココアの姿が、今も目に焼きついている。後ろ足が不自由で、他のトラのように俊敏には動けなかったが、それでも凛とした姿で生きていた。多くの人に愛され、励ましを受けながら過ごした15年。「不完全でも、美しく生きる」ココアはそんなことを教えてくれたような気がする。ただこれがもし野生だったら全く生きながらえることはできないのだろうというのもまた複雑な心境にさせられます。
そうそう、不適正営業で廃園命令をくらったノースサファリのトラの行き先どうなったんだろう?めちゃくちゃ心配になってきた・・・
ランタンボールの女王、アローヘッド

そして、アローヘッド。インド・ランタンボール国立公園の野生の女王。自分はこれまでネパールのチトワン、インドのランタンボール、ペリヤール動物保護区、サリスカ動物保護区など、幾つもの保護区を訪れてきた。トラを一目見たいという一心で、ジープで走りまわり、夜明け前から草むらに耳を澄ませた。一瞬の出会いのために、何度も足を運ぶ価値があると知ったのは、あのサファリたちのおかげだ。まあそれなりに金はかかるけど。
ランタンボールでは2回トラを目撃した。上の写真はまだ鮮明に写っている方。でもこれはトラの模様がいかにジャングル内では迷彩効果を発揮するのかという写真にしかなっていないのですがねw
まあかなりの確率で彼女ではないのだが、朝霧の中、乾いた竹林の向こうにトラが現れたときのあの空気の張りつめた感じ。ワクワク感はなんとも言えない。
アローヘッドは、自らの縄張りをもち、幾つもの命を育んだ有名な個体だ
その姿は“野生”という言葉の重さを、まざまざと感じさせてくれた。
彼女がいなくなった今、あの土地の空気さえ変わってしまったのではないだろうかという気がする。
だからこそ、こうして一頭一頭が亡くなっていくたびに、心がざわつく。
「また、ひとつ星が落ちた」そんな思いだ。しかもそれこそ色々な方たちのFacebookの記事が何度も何度も表示されるからなおさらだ。けれど、悲しみに暮れるだけでは終われない。ココアが私たちに示した“生き抜く姿”、アローヘッドが私たちに教えた“野生の尊厳”。
その記憶を、誰かに伝えたい。未来へつなげたい。きっとホッキョクグマを見に行ったらそれらに対しても同じような感覚になるのでしょうし、ひょっとしたらトラよりもホッキョクグマの方が数段絶滅危機が強いのかもしれないなと思います。
人とトラとが、互いに無理をせず、でも敬意を持って共に生きられる世界。
そんな世界が、実現した欲しいものだといつも考えてしまう。昨年度、バングラデシュから交流に訪れてくれた生徒たちや先生と話をすると「シュンドルボン」では見られるチャンスがあるということだった。船で行って2泊すればまあ見れるでしょという話をされたので、なんとか実現させたいなと考えている。
ランタンボールがあるラジャスタン州のSawai Madhopurも行きたいなぁ。デリーとかはもう良いからずっとここでも良いな。田舎で良い感じなんで。

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