7月22日、野球の全校応援の振替休日だったので、平日満喫モードとして白石区にある川下公園へ足を運んだ。例年にも増して雨が少なく、気温も高め、というかもう北海道は涼しいよね、なんて絶対に言えない話。木々や草花たちは少々バテ気味で、葉先に元気がない。芝生も悲惨な状況。まるで「ちょっと休ませて」と訴えているかのような状況。人間も自然も、今年の夏には手を焼いている・・・というイメージ・・・
ふと、視界の端で何かが激しく動いた。視線を向けると、大きなクモが木の幹からバタバタと落ちてきた。足を広げると10円玉ほどありそうで、十分に迫力のあるサイズ。脚をバタつかせ、まるで何かに取り憑かれたような尋常ではない動き。「何が起こった?」とカメラのレンズを向ける。


その答えは、すぐに現れた。黒とオレンジの鮮やかな体色、そして鋭い動き。その犯人(いや、主役)はベッコウバチだった。おそらくオオモンクロベッコウ。まるで狩人のような風格で、一直線にクモへと向かう。実はその前にもこのベッコウバチは目にしていて、こんな時期にも狩りをするのかなぁと漠然とみていたので、この動きを見てすぐにわかったのだ。
ベッコウバチはクモを狩って、その体内に卵を産みつける。幼虫はクモを食べて成長する、という一見残酷だが自然界ではよくあるパターン。


あっという間にクモは麻酔を打たれたように動きを止め、ひっくり返ってしまった。さっきまでの動きはあっという間に封じられてしまったのだ。ほんの数秒の出来事。自然の摂理とはいえ、衝撃的だった。


驚いたのはその後だ。ほんの小さなエリアで、同じようなベッコウバチの姿を何匹も確認した。ひと夏のうちに子孫を残すため、今がまさに彼らの“繁忙期”なのだろう。その一方で、クモたちにとってはまさに「受難の季節」。木陰に静かに暮らしていたはずが、突然の襲来に身を投げ出すことになるとは…。まあ、それでもクモだって隠れていて餌に襲いかかるんだから同じとも言えるか。
草むらの中のドラマは、いつも静かで、それでいて過酷。クモとベッコウバチ、どちらが正義でも悪でもない。ただそれぞれが、生き残り、命をつなぐために動いている。公園での何気ない一日が、こんなにも深い物語を含んでいるとは。自然観察の面白さは、こんなところにあるのだと思う。これをやって給料出るなら全然喜んでこんな仕事をしたい物です・・・虫刺されはいやだけど。

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