エゾシカが増えすぎて大変だという話を耳にします。
千歳市内の国道を通って支笏湖に行く途中には膨大な数のエゾシカが生息しているので、車との事故も時々起こっていると言うことです。
実際に自分も一度シカにぶつかって酷い目に遭いそうになったことがあります。その時はランドクルーザーだったし、フロントには太めの鉄製のバーがついていたので、シカには申し訳ないことをしました。こっちは無傷だったので。
道路脇に鉄製の高い柵を張り巡らせたり、シカが優先的に移動できる場所を作ったりと対応を工夫しているところですが、事故をコントロールするのは「数をコントロールする」事も必要になることからなかなか一朝一夕に行くはずもありません。
エゾシカは昔から多かったのかというともちろんそんなこともなく、明治初期には乱獲や大雪などの影響を受け、一時は絶滅寸前になりました。
その後の保護政策等で数が増え、ここ30年ほどでエゾシカの数が急増したのです。推定生息数は平成22年度に65万頭にまで増加し、現在の推定生息数は減少傾向にあるものの、未だ高い水準を保っているのです。
データをグラフ化してみるとこんな感じです。
推定頭数は安定して約70万頭ですね。それでも、2010年よりはかなり減っていると言うことになりそうです。約7万頭減ですからね。
それに伴って青いバーの農林業の被害額がガタンと下がったのですが、残念ながらそこからは横ばいです。
直接自分たちが「購入価格」として感じることが少ないのですが、45億円もの損害が出ているのですね。それはなかなか大変な問題です。
人間が頭数制限することが絶対的な善だとは思いませんが、オオカミを絶滅させてしまった以上、交通事故死や自然死以外には狩猟によるコントロールしかないのだろうなと言うのは予想できます。
アイヌの人たちはオオカミともしっかり共存できていたのでしょうが、和人の進出によって完全におかしくなってしまったんでしょうね。北海道に進出してきて開拓し、それによってエゾシカの生息域が減少して数が減る。それによって本来はエゾシカを食べていたはずのオオカミのの餌がなくなって、家畜のウマを襲う。益々人間によるオオカミへの圧が高まって、駆除が進み、さらに大雪が原因のシカの大量死が起こってしまうという悪循環。結局オオカミが絶滅してしまったのです。
同じように絶滅しかけた天敵なきあとのエゾシカは、増える一方で今に至ってます。
100年前の轍を踏まないように、十分気をつけて行かなければダメですね。
なんて思っていたら、ついにこんな現場に出会いました。
急斜面の下にあったのですが、道路からもすぐの場所でしたので、原因が一体何なのかははっきりわかりませんが、もし交通事故死体であればもう少し手前に落ちていても良いかなと思うので、滑落したものかなと思います。寿命なのかも知れませんし。
この綺麗な骨の様子から、見事に食物連鎖の一つの歯車になっているのがわかります。
もうほとんど食べる場所がないからなのかも知れませんが、何の動物も来ていませんでした。夏であれば昆虫類にさらに綺麗に処理されるのでしょうが、近くまで行って確認したらネズミのようなものがいたのかも知れません。
いずれにしても、一頭のエゾシカがどんな風に亡くなって、どんな風にここまで分解されたのがもう少し近くだったら継続観測してみたいなと思いました。
いずれにしても、ここまで生態系をぶち壊してきてしまった人間は本当に罪深いなと頭を抱えてしまいます。
町の中に平気でいるのではなく、北海道の場合は動物の生息域に勝手に人間が住んでるんですもんね。
自然科学ランキング