Podcastのバイリンガルニュースで上のサイトの話が紹介されていました。ざっくりまとめれば以下のようになるはずです。
⚫︎インドでは、トラの数が過去10年で倍増し、現在約3,700頭のトラが生息している。これは世界の野生のトラの75%を占めている。
⚫︎インドのトラ保護戦略の特徴:
1. 厳重に保護された保護区と、トラと人間が共有する区域を組み合わせている。
2. 現在、インドのトラが生息する地域の45%は約6,000万人の人々と共有されている。
3. エコツーリズムや政府の補償制度により、トラへの寛容度が高まっている。
4. トラによる人間への攻撃は稀で、年間約100人が犠牲になっている。被害者の家族には政府から補償金が支払われる。
⚫︎トラの個体数が増加している地域の特徴:
• トラ保護区に近い
• 豊富な餌と適した生息地がある
• 人口密度が比較的低い
• 適度な経済的繁栄がある
⚫︎一方で、極度の貧困地域や武力紛争の影響を受けている地域ではトラの個体数が少ない
このインドの経験は、人間と大型捕食動物の共存が可能であることを示しており、ヨーロッパなど他の地域にもを応用できる可能性がある。 って感じです。
今まで、インドやネパールに野生のトラを探しに何度も行ってやっと2回だけ遭遇しましたが、面積の広さとトラの数を考えると、まあそりゃそうだよなということになりますね。

しかも見えたと言っても「あーあれか、確かに寝てるんだな」って感じではありました。こんな林の中をジムニーでウロウロするんですがね。
一番初めにトラ探しに行った場所はサリスカという通称「保護区」だったのですが、上の論文から行けば貧困地域だったのかもしれません。今はトラはいないってなっていたと思います。
ところが、ランタンボール国立公園では結局2回見ることができたので上記の「トラの個体数が増加している地域」に入りそうですね。現に保護区内で普通に生活している家などもありましたので。
では、インドやネパールなどの保護の仕方を日本にそのまま適合できそうかと考えると、そんなに甘くはないなと思います。
まず絶対的な条件のこれ「トラによる人間への攻撃は稀で、年間約100人が犠牲になっている。被害者の家族には政府から補償金が支払われる。」ですよね。日本で対象になりうる大型動物はきっと「クマ」なのでしょうが、「クマに年間100人程度犠牲になるけど仕方ないよね」とはなりません。人口比で考えて「10人は犠牲になるけど」とは言えそうにないと思います。
「クマによる人的被害が100人」というのを多い、少ないで考えるのはなかなか難しいですが、インドやネパールだと他の動物による被害の方が大きいのは明白なのです。例えば「マラリア」などのせいで亡くなっているはずです。蚊ですね。統計データを見ると、インドでは12億人がマラリア感染の危険に晒されているそうです。そう考えると、「トラの被害は100名なんて」となりそうですよね。
あとは現地にいる人たちの感覚と、周りから見ている人間の観客としての感じ方が違います。「札幌市に熊が出た問題」も「射殺?とんでもねえ」になりがちですが「じゃあそこに住んでみて」になるんです。
インドのトラ問題だってそれと同じなのかもしれません。自分はわざわざお金を払ってサファリに参加してやっとトラが見られました。もし現地の人たちが襲われてそのトラを・・って考えると「見えなくなる可能性がまた高まるじゃん」ってなりそうですが、もう少し多角的に考えないとダメだなぁと思いました。
いずれにしても、ちょっとまたインドにでも行ってきたいなと思いました。
インドのトラ写真、見つかりました。


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