職場の駐車場から坂を登って玄関まで到達します。その間、色々な植物があって色々と考えさせられます。まず最初に利用したのがスギナ(ツクシ)ですが、生物の実験では他にも色々使えそうな気がしてみています。
最近やたらと気になっているのが写真のマツの仲間。
冬芽の防御とは?
樹木は冬の寒さや乾燥、動物の食害などから芽(将来の葉や花になる部分)を守るために、冬芽(休眠芽)をつくります。冬芽には以下のような防御的特徴があります:
- *芽鱗:芽を覆う硬い鱗片
- *毛(綿毛):断熱材のような役割
- *樹脂や油分:凍結防止・防食
- *化学物質の蓄積:動物による食害を防ぐ
例えば、先日虫穎ができているなという話を紹介した「トチノキ」であれば、樹脂のような成分で覆われています。そして、トゲが印象的なハマナスだってこんな感じなのです。毛に覆われることで有名なのは「コブシ」でしょうか。
そして、印象的なのがオオカメノキの冬芽です。ウルトラマンが飛ぶかのようなスタイル。




おそらく今盛んに伸びているマツの仲間は芽鱗タイプだったに違いありません。
冬芽の防御コストは?
植物にとっての「コスト」とは、主に以下のようなリソース(資源)の消費を指します:
- *エネルギー(光合成産物)
- *栄養素(窒素・リンなど)
- *物質合成に使う酵素や構造タンパク質
⠀冬芽の防御には、これらを使って防御構造や物質を合成する必要があります。コストの割合:具体的な数値は?
研究によって多少異なりますが、冬芽の形成と防御にかかるコストは、年間の総光合成産物(炭素資源)のうちおおよそ 3~10%程度と見積もられている例があるようです。
- *芽鱗や毛の形成 → 炭素コスト(細胞壁やリグニンなどの合成)
- *防御化学物質(タンニンやアルカロイドなど) → 高い窒素・エネルギーコスト
- *小さな芽を多数つくる戦略 → 数で補う代わりに単価を抑える(戦略的トレードオフ)
朝は余裕がなくて写真なんて撮っている場合じゃないのですが、沢山の「元冬芽のカバー」が落ちているのでもの凄く気になるのです、このコスト問題が。



それぞれの木の下にはとんでもない数のキャップが落ちているのです。触って砕いてみるとほんのりと松脂臭もします。

コストと利益のバランス
植物は「冬芽が損傷すると翌春の生長ができない」という重大なリスクに備えて、比較的高いコストをかけても防御する価値があると判断していると考えられます。いや、もちろん考えているわけはないのですが・・・
- *極寒地や乾燥地では防御コストが高くなる傾向
- *温暖な地域では防御を軽視し、芽の生産回数を増やすなどの戦略もある
ということなので、南の方の植物をじっくり見てみるチャンスを作りたいなと思います。ボルネオまた行きたいな・・・。

こんな感じで年中新しく葉が出てきているもんなぁ。定点観測したら本当に楽しそう。旅行中だとなかなか「同じ場所」で観察することがないので、もう住むしかないってことか。今の時期の北海道で「暑くてやばい」とか言っている場合じゃなくなるけどw

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