高級食材のウニは見かけによらず管足を使って活発に活動します。棘皮動物なので体は五放射相称で特異な構造を持っています。
そして餌は海藻類。
この5つの歯の組み合わせの部分をアリストテレスのランタンと呼ばれています。古代ギリシャ時代のランタン(提灯)に形が似ていることをアリストテレスが著書「動物誌」の中で紹介したことが由来と言われています。
ところが最近は「磯焼け」という問題がクローズアップされていますが、原因と結果はおそらく複雑な関係なっていそうです。
たとえば「磯焼け」の原因を検索してみると
ウニや小型巻貝、アイゴ、チヌなどの藻食生物による食害
無節サンゴモ(石灰藻)の優占
恒常的な海の波浪や海底の侵食
などが出てきます。
ウニの餌は海藻類なので、大量のウニが安定して生息していくには、それに伴った大量の海藻がいります。
ところが、磯焼けがおこっているところでは、当然少ない餌の取り合いなどになって、結果的に磯焼けが加速することになるはずです。
一方、ウニは海産物としては高級ですから、安定供給できた方が良いに決まっています。北海道産のウニは100g 3,500円〜4,000円程度です。
ウニのうち可食部は卵巣か精巣ですから、成熟して時期でなければいけないので、海域によって漁獲時期が色々です。
1月〜6月:羅臼(らうす)
3月〜5月:襟裳(えりも)、日高
4月〜6月:礼文島、雄武(おうむ)
5月〜7月:小樽、江差
6月~8月:利尻島、礼文島、積丹、小樽、岩内、天売島
7月〜8月:奥尻島
9月末〜12月:松前(道南)
2022年に赤潮が発生して日高地方のウニが死滅したのは衝撃的ニュースでした。サケ約2万7900匹、ウニ約2800トンなどが死滅してしまい,80億円以上の損害が出たのです。ウニを出荷するには4年ほどかかりますから、時間がなんとかしてくれるわけではありません。一年間の辛抱だとはならないのです。
そこに来て新しいニュース。
*産卵後のウニを磯枯れゾーンから回収(このウニの商品価値なし)
*籠に入れて肥育
*餌には規格外などの野菜を供与
*季節外れの成長で今までと違う時期に出荷
*磯枯れと商品価値ありになる
というのです。
オス・メスでの味の違い、つまり精巣か卵巣かでの味の違いがほぼ感じられない…というかむしろ識別も怪しい…ウニですから、餌によって大きく味が変わらないのであればこれはもう色々素晴らしいことだなと思います。
この取り組みは積丹半島で展開されます。
最盛期が6〜8月の積丹のウニが、この取り組みによって「冬ウニ」として出荷されることになりそうですね。
また、過去のデータを利用してグラフにしてみました。こんな感じです。
どんどん漁獲量が少なくなっているのですがこれが復調するかもですね。さらに面白いのはバブル期はウニも高かったんですね。1986−1991位の時期ですよね。
これは色々良い回転を生み出しそうな予感です。
頑張って欲しいですね、漁師の方達とウニ、そして野菜を供給してくれる農家の方達にも。
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タイトルのウニ丼以外、今のMacBookにはいっている「ウニ」を検索するとまさかのこれでしたw
なんだかわかりますよね?ウニではありません。