3年間生活した寿都町は「ホッケの水揚」が日本一という街でした。それでも自分がいたときには「凄く取れていた」という時期から時間が経過して、ホッケ飯というご当地グルメができたのですが、なんとなく寂しい感じすら受けました。
寿都町は北海道あるあるで、以前はニシンが大量に採れてニシン御殿というのがあるほどでした。地元に資料館には多くのニシン漁関連の資料があって、「肥料」にまで活用されていた感じでした。
ニシンはもちろん貴重な食材で、卵巣である数の子はもちろん高級食材です。おまけに魚卵なのにプリン体は少ないという最高の食品ですw。
そんなニシンは干して保存食的に使ったり、焼き魚にしたり、北海道だと刺身にしたり、オイル漬けなどもありますよね。
焼いたら身が柔らかいので好き嫌いが分かれるかも知れませんが、自分はもの凄く好きな魚の一つです。
そんなニシンは、こんな感じで漁獲高が激減してきた過去があります。
もちろん、漁業従事者の方達はおそらく1986年に、「ニシン復活〜」と思ったのではないかと思いますが、それが残念ながら違ったと言うことですね。そのあとのダメージがかなり深刻で、こんなことになってしまっていたのです。
でも、昨日、寿都町在住の友人、米澤商店(https://www.facebook.com/yonezawashow10/?locale=ja_JP)のサイトに「群来(くき)」の画像、それもドローンで撮影した凄い画像がアップされていました(許諾を得て転載させてもらっています>ありがとうございます!)。
「ニシンを網ですくっている」という話もあるくらいで、これはも強烈な群来ですね。1986年のような事にならないように、うまくコントロールして、次年度以降もたくさん戻ってきてくれたら良いなと思います。
ちなみに群来は産卵した卵にオスが精子をかけ,それによって海が変色して見える現象です。海藻などに産み付けられる卵ですが、この概数は、「体長×10000粒」程度と考えられていて、今回産卵に来ている群がどの程度のサイズかわかりませんが、もの凄い数の産卵があったことは容易に想像できます。もちろん、そのうちどのくらいの割合が成魚にまでなるのかが問題ですが、相当数の稚魚が孵化して回遊をはじめることになりそうですね。
ただ、独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター:トピックスの報告を見ると、2年後の回収率が平均で0.14%だそうです。人工孵化で放流したサンプルなので、野生のものとは違うのでしょうが。
30cmの魚体の一匹が産卵する数が30×10000粒。回帰率0.14%だとすると、420匹。それがあてはまるとして、1万匹の30cmメスニシンが産卵したとしたら、って考えたら凄そうですが、産卵前後に湾内を回遊しているニシンはもちろん網にはいってしまって「豊漁だ〜!」ってなりそうなので、なんだかやっぱり複雑ですね。
今産卵して、河川を遡上するサケのように死んでしまうわけでなく、また何年も戻ってくるので、やっぱり「獲りすぎない」のが重要なのだろうなと思います。なんていいながら「大量に獲れて安いニシン最高!」とか思ってしまうのでもう最悪ですw
海の中の事って、本当によくわからないですからね、今回も群来もどんな範囲で起こっているのでしょうかね?そんな情報もこの後色々出てきそうです。
ちなみに、寿都の春の風物詩の一つは「コウナゴ」です。綺麗な漁の様子が感動的ですが、このニシンの稚魚が入り込んで、コウナゴ漁にも影響があるようです。難しいもんですね、本当に。
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