中学校2年生の理科で「化学変化」の実験があります。その中での「熱分解」で絶対に出てくるのが炭酸水素ナトリウムの熱分解です。
重曹などと呼ばれることが多い炭酸水素ナトリウムですが、加熱すると分解されて「炭酸ナトリウム」「二酸化炭素」「水」に分解されるのです。この化学反応を利用したのが「ホットケーキ」や「蒸しパン」などですが、今は標準的な実験になったもう一つが「カルメ焼き」です。これ、教科書に導入したのは左巻健男さんですね。
温度管理をしっかりしなければいけないし、反応を見ると「オ〜分解しているわ」になるし、最後に食べられるし、他の学年からは「良いな〜めっちゃ良いにおいだ!」になる最高の実験だと思います。
今年度は先にカルメ焼きをやらず、たこ焼き器を利用して「ホットケーキは何故膨らむのか?」ということで、色々な条件を入れ込んだ実験にしていたので、カルメ焼きはこんな時期に実施です。
まあ、ホットケーキ実験もなかなか面白くて、生徒たちは膨らむ理由を色々考えます。小麦粉自体や砂糖や卵だと思う生徒も多く、卵の卵白でメレンゲを作るから膨らむケーキとの違い、イーストの発酵で膨らむパンとの違いを考えるきっかけになって、それはそれで楽しいなと思っています。
炭酸水素ナトリウムが膨らむ原因なら大量に入れて膨らませたものを食べてみようとなって、実際にちょっと口に含んだときの異様な味で「炭酸ナトリウム」を感じることができますしね。
炭酸水素ナトリウムの熱分解で唯一残念なのが、残った固体である炭酸ナトリウムが元と同じ白色の粉末だということですね。これが別な色になったらもう最高ですw
昔やったことがある酸化水銀の熱分解なんて驚愕以外の何物でもありませんからね。黄色い粉末を加熱すると銀色の液体になるのですから、今も教科書に出ている「酸化銀の熱分解=黒色粉末を加熱すると白っぽくなって磨くと銀色になるから銀だよねってやつです」よりも数段インパクトがありました。
さて、今回のカルメ焼きは、「コンビニなどで売られている冷凍の鍋焼きうどんの容器」のような大きな厚手のアルミ皿を利用してやってみました。
もちろん砂糖も大量に使いますしお玉のようなものでやるよりは時間がかかりますが、鬼門とも言える125℃を維持しやすいし、インパクトが強烈で「これはアリだな」とおもいました。結論は「技不要で125℃まで加熱さえすればできる」ってことです。今度家でやろう!っていってた生徒もいました。
ムクムクと熱せられた砂糖液が上がってくるのはなかなかインパクトがありました。溶岩のモデル実験のようにも活用できそうですね。
家では下のような標準タイプだろうね!今度キャンプ場でやってみようかな?これはこれで面白そうだよね?
何よりも良いなと思ったのは、お玉などでやると、飛び散ってしまうことがあったりしがちですが、それが一切ないのは最高です。
その後、みんなで食べていましたが、「喉渇く」という感想でした。たしかに砂糖の量も凄いですから、きっと次の時間には脳に多くのエネルギーが到達して効率が良かったのではないかなと思いました。
そうそう、このためにコンビニで卵を購入しましたが、6個で157円です。コンビニの卵もやはり値上がりしているのかな?
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食べ物になる実験や学習はやっぱりいいですね。この数年、楽しい活動が全くできなくて、新年度で言うと4年生までがその楽しさを知らない小学生です。新しい生活様式が「彼らの普通」で、コロナの終息に伴って「以前の暮らしが戻ってくる私たち」にすれば当たり前なことが、逆に「新しい生活様式」とも言える現場です。教員生活でいろんな経験をしましたが、ラスト3年のドタバタは良くも悪くも思いがけない経験でした。
それはそれとしてblueno氏との出会いは貴重なポジションで、今更ながら感謝大です。お別れ風な書き方してますが、継続して現場に残れることになりましたので、また知恵をお貸しいただけると嬉しいです。今のところ、またカイコの卵から始めようかと…通勤道で桑の木を探すのが大事なミッションだけど、隣町の神社の横だから大丈夫かも(笑)